”遺骨からダイヤモンド”
完全解説
01 遺骨をダイヤモンドにする意義は?
亡くなった方の髪の毛を手元に置いておくことがあります。愛した人の肉体が無くなってしまう前に体の一部を持っていたい気持ちからです。また、故人の写真を肌身離さず持っている方もいます。また稀にですが、ご遺骨を持っている方もいます。私がこのビジネスに関わろうと思ったきっかけは、写真です。写真は亡くなった人間の昔の姿を写していますが、所詮、紙に過ぎないと思いました。髪の毛でも良いですが、やがて風化し清浄さが失われてしまいます。やはり奇麗な何かに、風化しない何かに変えて永遠に手元に留めおくことができたらと考えました。そして、さらに低コストで!
「ダイヤモンドベール」とは、炭素を元に膜状に作られたダイヤモンド結晶の集まりです。キラキラと輝かせるために高いコストをかけて宝石にカットを施すものではないため、それ自体が輝くことはありません。
本来の本質的な思い出の輝きをいつも身近に感じられることを第一に考え、見た目の輝きを得るために掛かるコストを大幅に抑えた、より手の届きやすい形の遺骨ダイヤのメモリアル商品「ABBY(アビー)」も近年発売が始まっています。
02 ダイヤモンドはなぜ価値が高いのか?
ダイヤモンドと聞けば誰もが高級で価値の高いものと思い浮かびます。それはなぜでしょうか? ダイヤモンドが歴史上、はじめて登場するのは聖書のエゼキエル書といわれています。昔から硬いことはわかっていたようです。しかしながら、硬いから価値が高いことはないですね。やはり輝きですが、ダイヤモンドの原石は輝きません。特定の結晶方向にカットされ、はじめて宝石としての価値が出てきます。ダイヤモンドの屈折率は大きく、光が良く曲がります。うまくカットすれば、光の反射、反射を宝石内部で繰り返し起こすことが可能になります。それが輝く原理です。それでは奇麗に輝けば、価値が高くなるのでしょうか? それも理由の1つですが、ダイヤモンドは権威の象徴と言われています。マリーアントワネットやエリザベス1世はダイヤモンドを好みました。つまり権威が高い人間がダイヤモンドを所持することで、ダイヤモンド自体の価値が高まってきました。また、日本では婚約指輪を女性にプレゼントする習慣がありますが、これは愛の証ということになります。高級なダイヤモンド、大きなダイヤモンドをプレゼントされると、誰でも”相手の気持ち”を感じ、嬉しくなります。こうして、”炭素の塊”であるダイヤモンドはその地位を確立してきました。
プロフィール
現 職 慶應義塾大学理工学部教授(工学博士)
主な経歴
2024:東京都産業技術センター評価委委員長
2020:川崎市産業振興財団理事
2019:慶應義塾大学 研究連携推進本部 本部長
2013:慶應義塾先端科学技術研究センター 所長
2009:経済産業省関東経済局 低炭素社会に向けた技術発掘事業 研究リーダー
2009:文部科学省 日本―フィンランド交流事業 研究リーダー
2007:経済産業省NEDOナノテクチャレンジプロジェクト研究リーダー代行
2006:文部科学省都市エリアプロジェクト研究リーダー
2006:神奈川県環境調和型機能性表面プロジェクト研究リーダー
2005:慶應義塾大学理工学部教授
これまでダイヤモンドに関する学術論文多数、また企業との共同研究多数。キリンビール技術顧問、冨士ダイス技術顧問、ナノフュエル株、ニプロ㈱技術顧問、三菱鉛筆技術顧問、台湾工業技術院技術顧問を歴任。
慶應義塾大学理工学部教員プロフィールhttps://www.st.keio.ac.jp/tprofile/mech/suzuki.html
研究活動ページ
研究テーマや成果、研究室の紹介
研究対象はダイヤモンド、カーボン、セラミックなどの機能性薄膜である。企業ニーズを受けて、そのニーズに応えるべく、プラスチック-無機物の界面を透過型電子顕微鏡による解析などに基づいてナノレベルで現象を把握し、製品開発・実用化を進める。対象製品は、ステントなどの医療機器からペットボトルなどの食品包装、飲料容器まで多岐にわたっている。
商品開発に関する研究内容や取り組みの紹介
◇ 生産性向上を目指した大気圧下での薄膜合成技術と鉄道・車・容器への応用
◇ セラミックス硬質薄膜の切削工具への応用
◇ 気相合成ダイヤモンド薄膜を利用した微粒化ディスクの開発
◇ アディティブマニュファクチャリング(AM)により作製したインコネル625に関する研究
◇ ダイヤモンドライクカーボン薄膜を用いたフレキシブル太陽電池
◇ ダイヤモンドライクカーボン薄膜を応用した新規医療機器の開発
◇ 企業からの主な委託研究
自動車用部品のコーティング技術開発
耐摩耗性切削工具開発
ガスバリア性ペットボトル開発
抗血栓性医療機器開発
大気圧プラズマ技術
等多数。
<共同研究実績>
JR東海、双葉鉄道、豊田自動織機、日立製作所、キリンビール、キリンビバレッジ、石油公団、森精機、サントリー、荏原実業、フコク、ダイキョウニシカワ、テトラパック、川澄化学、クリニカルサプライ、サンメディカル技研、ヤマハ発動機、積水化学、デーロスジャパン、ドリームメディカルパートナーズ、富士電機、タンガロイ、冨士ダイス、プラズワイヤー、三菱商事プラスチック、三菱鉛筆、神戸製鋼、ニプロ、他多数。
メディア掲載実績
◇ 2020.8.24 日経新聞
ダイキョーニシカワ 樹脂ガラス被膜加工 アルゴンガスで安く 重さはガラス製の6-7割に軽減
◇ 2020.4.6 日刊工業新聞
ペットボトル「リユース」によるプラ削減 コスト半減
◇ 2018.2.5 別冊アエラ「誌上早慶戦」
早慶理工研究所長対談 理工系研究機関のトップが初顔合わせ
◇ 2017.12.28 日経新聞
ニプロ 医薬用ガラス包装容器に応用 バイアル・シリンジ・カートリッジ・ステント・人工心臓
◇ 2017.10.3 日経産業新聞
神奈川科学技術アカデミーと共同開発 匂いつかず
◇2016.3.14 日経新聞
テトラパック 紙パック・パウチにDLC
◇2016.1.18 日経新聞
高価な真空装置不要 自動車部品 金属・プラスチックにも可 コスト4割減
◇2016.11.21 日刊工業新聞
高硬度DLC新技術 ストリーマー放電の利用
他多数