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 ”遺骨からダイヤモンド”
完全解説

”遺骨からダイヤモンド”のはなし

01 遺骨をダイヤモンドにする意義は?

亡くなった方の髪の毛を手元に置いておくことがあります。愛した人の肉体が無くなってしまう前に体の一部を持っていたい気持ちからです。また、故人の写真を肌身離さず持っている方もいます。また稀にですが、ご遺骨を持っている方もいます。私がこのビジネスに関わろうと思ったきっかけは、写真です。写真は亡くなった人間の昔の姿を写していますが、所詮、紙に過ぎないと思いました。髪の毛でも良いですが、やがて風化し清浄さが失われてしまいます。やはり奇麗な何かに、風化しない何かに変えて永遠に手元に留めおくことができたらと考えました。そして、さらに低コストで!

02 動物の骨からつくる「ダイヤモンドベール」⽣成の仕組み

遺骨から炭素を抽出し、基材の宝石(サファイアなど)と一緒にダイヤモンド合成炉の中に⼊れます。炉の中は⽔素のプラズマに満たされています。 炉に入れた炭素はプラズマにより少しずつ削られ、その削り取られた炭素‐水素体が基材の宝石に積もっていきダイヤモンド結晶となります。その過程で積み重なったダイヤモンドもまた⽔素プラズマによって同時に削られていくため、結晶⾯が露出していきます。露出した結晶面を整えるため、合成過程の最終段階で少量のメタンと⽔素を増量し、ダイヤモンド粒⼦を削りながら形を整える処理をしていきます。

03 手元供養メモリアル商品(遺骨ダイヤモンド)

「ダイヤモンドベール」とは、炭素を元に膜状に作られたダイヤモンド結晶の集まりです。キラキラと輝かせるために高いコストをかけて宝石にカットを施すものではないため、それ自体が輝くことはありません。
本来の本質的な思い出の輝きをいつも身近に感じられることを第一に考え、見た目の輝きを得るために掛かるコストを大幅に抑えた、より手の届きやすい形の遺骨ダイヤのメモリアル商品「ABBY(アビー)」も近年発売が始まっています。

04 メモリアル商品「ABBY(アビー)」について

「ABBY(アビー)」を展開しているのは、慶應大学発のベンチャー企業オールテック株式会社。ダイヤモンド合成プロセスに関する国際特許を保有しており、独自の技術でペットの遺骨から炭素成分を抽出、その炭素を用いて、”ダイヤモンドベール”をサファイアなどの宝石にコーティングしたメモリアル商品「ABBY(アビー)」を製作しています。
「ABBY(アビー)」大切な思い出が形となったもの。お守り袋に入れて持ち歩けるアイテムや、アクセサリーなどにお好みでデザイン加工も可能です。

ABBY (アビー)

ベース基材
「ABBY」のベースの基材には主にサファイアを使っています。上記写真は、基材のサファイアに遺骨から作ったダイヤモンド薄膜”ダイヤモンドベール”をコーティングしたものです。
ルビーやモアサナイトなど、他の耐熱性のある宝石にもダイヤモンドベール加工は可能です。
輝いて見えるのは、ダイヤモンドベールの輝きではなく基材の宝石の輝きです。
ベース基材の形状
定番の商品はラウンドカット(φ3mm~φ6mm)です。
オプションにて、カボションやレンズ型など柔軟に対応可能です。
ラインナップ
ベース基材、色、形状等、様々なラインナップがあります。
オールテック社の研究室(新川崎)又は相談室(新橋)にて実際にサンプルを見ることもできます。
小見出し
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ダイヤモンドのはなし

01ダイヤモンドとは?

私は長年、人工ダイヤモンドの研究をしていますが、「それは本物のダイヤですか?」という質問を良く受けます。

学術的なダイヤモンドの定義と、店頭で売っている”偽物のダイヤ”を混同しているのである。

店頭で売っているのは南アフリカで、地面から出て来たダイヤモンドであり、いわゆる”天然ダイヤ”である。この天然ダイヤにも等級があり、同じカラットでも、値段が高いものがあり、安いものもあります。

さて、人工でダイヤモンドを作るのは歴史的に、人類の長年の夢でした。多くの失敗を重ね、高温高圧で人工でダイヤモンドができるようになったのは、1955年であり、記念すべき年です。これは”本物のダイヤモンド”ですが、ある人たちは偽物と呼んでいます。
偽物のダイヤは炭素からできていない、キュービックジルコニア(ZrO2)であり、構成元素も異なりり、全くの偽物です。

高圧のダイヤモンドは、1955年以来大量に生産され、工業的に幅広く使われています。

さて、私が取り扱い、工業的にあまり使われていないのが、ガスから低温低圧で作る気相ダイヤモンドです!

私が米国で博士研究員をしていた時の教授が、1960年代に世界ではじめて合成しました。日本でも気相ダイヤモンドブームが起きました。
成膜スピードが遅く、肉眼で光っているのが見えないので、宝石としては流通していません。ただ、少量の炭素から合成可能なので、必要とする遺骨の量が少なくて済みます。しかもダイヤが小さいだけ値段も安くなります。

02 ダイヤモンドはなぜ価値が高いのか?

ダイヤモンドと聞けば誰もが高級で価値の高いものと思い浮かびます。それはなぜでしょうか? ダイヤモンドが歴史上、はじめて登場するのは聖書のエゼキエル書といわれています。昔から硬いことはわかっていたようです。しかしながら、硬いから価値が高いことはないですね。やはり輝きですが、ダイヤモンドの原石は輝きません。特定の結晶方向にカットされ、はじめて宝石としての価値が出てきます。ダイヤモンドの屈折率は大きく、光が良く曲がります。うまくカットすれば、光の反射、反射を宝石内部で繰り返し起こすことが可能になります。それが輝く原理です。それでは奇麗に輝けば、価値が高くなるのでしょうか? それも理由の1つですが、ダイヤモンドは権威の象徴と言われています。マリーアントワネットやエリザベス1世はダイヤモンドを好みました。つまり権威が高い人間がダイヤモンドを所持することで、ダイヤモンド自体の価値が高まってきました。また、日本では婚約指輪を女性にプレゼントする習慣がありますが、これは愛の証ということになります。高級なダイヤモンド、大きなダイヤモンドをプレゼントされると、誰でも”相手の気持ち”を感じ、嬉しくなります。こうして、”炭素の塊”であるダイヤモンドはその地位を確立してきました。

03 ダイヤモンドベールとは?

「ダイヤモンドベール」とは、炭素をもとに膜状に作られたダイヤモンド結晶の集まりです。
炭素成分をプラズマ中で分解、ダイヤモンドの結晶として1つ1つサファイアなどの基材に膜状に積み重ねていきます。このときにできた薄膜をダイヤモンドベールといいます。

<骨から炭素を取り出す>
骨は約70%がアパタイトを主成分とするリン酸カルシウムでできています。またアパタイトだけでなく、残りの約30%はコラーゲンを主成分とする有機物でできています。つまり、その中に炭素があります。遺骨の中に残存する炭素を取り出してダイヤモンドを作ります。私は、この炭素を取り出し、その炭素を原子状に分解し、ダイヤモンドを合成する国際特許を有しています。
米国特許:「骨からの美麗装飾品の製造方法」
米国特許番号:7,727,589

<サファイアの上に炭素原子を並べてダイヤモンドを作る>
私が技術顧問をしているオールテック㈱では、サファイアの上に遺骨から取り出した炭素により、ダイヤモンドを堆積させています。原子の大きさは小さく(1mmの約10000000分の1)、小さなダイヤモンド(電子顕微鏡写真)を成長させるにも時間がかかります。炭素原子とサファイア基材上の原子は化学結合しており、自然に撮れてしまうことはありません。

プロフィール

鈴木哲也 - Suzuki Tetsuya -

  • 現 職 慶應義塾大学理工学部教授(工学博士)

    主な経歴

    2024:東京都産業技術センター評価委委員長

    2020:川崎市産業振興財団理事

    2019:慶應義塾大学 研究連携推進本部 本部長

    2013:慶應義塾先端科学技術研究センター 所長

    2009:経済産業省関東経済局 低炭素社会に向けた技術発掘事業 研究リーダー

    2009:文部科学省 日本―フィンランド交流事業 研究リーダー

    2007:経済産業省NEDOナノテクチャレンジプロジェクト研究リーダー代行

    2006:文部科学省都市エリアプロジェクト研究リーダー

    2006:神奈川県環境調和型機能性表面プロジェクト研究リーダー

    2005:慶應義塾大学理工学部教授

  • これまでダイヤモンドに関する学術論文多数、また企業との共同研究多数。キリンビール技術顧問、冨士ダイス技術顧問、ナノフュエル株、ニプロ㈱技術顧問、三菱鉛筆技術顧問、台湾工業技術院技術顧問を歴任。

  • 慶應義塾大学理工学部教員プロフィールhttps://www.st.keio.ac.jp/tprofile/mech/suzuki.html

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研究活動ページ

研究テーマや成果、研究室の紹介

研究対象はダイヤモンド、カーボン、セラミックなどの機能性薄膜である。企業ニーズを受けて、そのニーズに応えるべく、プラスチック-無機物の界面を透過型電子顕微鏡による解析などに基づいてナノレベルで現象を把握し、製品開発・実用化を進める。対象製品は、ステントなどの医療機器からペットボトルなどの食品包装、飲料容器まで多岐にわたっている。

商品開発に関する研究内容や取り組みの紹介

◇ 生産性向上を目指した大気圧下での薄膜合成技術と鉄道・車・容器への応用

◇ セラミックス硬質薄膜の切削工具への応用

◇ 気相合成ダイヤモンド薄膜を利用した微粒化ディスクの開発

◇ アディティブマニュファクチャリング(AM)により作製したインコネル625に関する研究

◇ ダイヤモンドライクカーボン薄膜を用いたフレキシブル太陽電池

◇ ダイヤモンドライクカーボン薄膜を応用した新規医療機器の開発

◇ 企業からの主な委託研究

自動車用部品のコーティング技術開発
耐摩耗性切削工具開発
ガスバリア性ペットボトル開発
抗血栓性医療機器開発
大気圧プラズマ技術
等多数。
<共同研究実績>
JR東海、双葉鉄道、豊田自動織機、日立製作所、キリンビール、キリンビバレッジ、石油公団、森精機、サントリー、荏原実業、フコク、ダイキョウニシカワ、テトラパック、川澄化学、クリニカルサプライ、サンメディカル技研、ヤマハ発動機、積水化学、デーロスジャパン、ドリームメディカルパートナーズ、富士電機、タンガロイ、冨士ダイス、プラズワイヤー、三菱商事プラスチック、三菱鉛筆、神戸製鋼、ニプロ、他多数。

メディア掲載実績

◇ 2020.8.24 日経新聞
ダイキョーニシカワ 樹脂ガラス被膜加工 アルゴンガスで安く 重さはガラス製の6-7割に軽減

◇ 2020.4.6 日刊工業新聞
ペットボトル「リユース」によるプラ削減 コスト半減

◇ 2018.2.5 別冊アエラ「誌上早慶戦」
早慶理工研究所長対談 理工系研究機関のトップが初顔合わせ

◇ 2017.12.28 日経新聞
ニプロ 医薬用ガラス包装容器に応用 バイアル・シリンジ・カートリッジ・ステント・人工心臓

◇ 2017.10.3 日経産業新聞
神奈川科学技術アカデミーと共同開発 匂いつかず

◇2016.3.14 日経新聞
テトラパック 紙パック・パウチにDLC

◇2016.1.18 日経新聞
高価な真空装置不要 自動車部品 金属・プラスチックにも可 コスト4割減

◇2016.11.21 日刊工業新聞
高硬度DLC新技術 ストリーマー放電の利用

他多数

メリット
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